甘味と、とろみが特徴のジャム。パンやケーキにつけると美味しさにプラスして鮮やかな色味で食卓を華やかにしてくれます。
保育園や幼稚園の給食でもジャムが付きのパンが出た時は、子どもたちは大喜び! 笑顔で完食してくれることが多いです。
ところで、ジャムにとろみがついているのはなぜでしょうか?
ジャムのところみには、果物や野菜に含まれる「ペクチン」という成分がかかわっています。
今回は、「ペクチン」とはどのような成分なのか、とろみがつくメカニズムや多く含まれている食材などをご紹介します。
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「ペクチン」って、なぁに?
「ペクチン」は、果物や野菜をはじめ、植物の細胞壁を構成している食物繊維の一種です。
水に溶けない「不溶性」と水に溶ける「水溶性」の2種類があります。
「不溶性のペクチン」は、未熟な果実に多く含まれ、果実が熟すにつれ、水溶性に変化していきます。
適度に熟した果物に含まれる水溶性ペクチンは、ゲル化(ゼリー化)する性質を持っていることから、“天然のゲル化剤”とも呼ばれ、ジャムのとろみ成分として広く知られています。
ジャム作りから考えてみよう!ペクチンでとろみがつく理由
ジャムの適度なとろみを生み出すのが「ペクチン」と「砂糖」と「酸」です。
ペクチンは、果物の組織内で網目状につながっています。ところが、加熱するとペクチン同士のつながりがほどけて、ペクチンが組織の外へと溶け出してきます。
このとき、砂糖を加えると、砂糖がペクチンの水分を吸収して抱え込み、一度溶けたペクチンは再びつなぎ合わさって、網目構造を形成します。
水分が網目の中に閉じ込められると、ジャムのようなゼリー状に変化するのです。
果実に含まれている酸には、この反応を促進する働きがあります。
ペクチンや酸の含有量は、果物の種類や成熟度合いによって、含有量が異なります。ジャムにとろみがつきにくい場合、市販のペクチンやレモン汁などを加え、とろみ加減を調整するとよいでしょう。
ペクチンの多い果物
ペクチンを多く含む果物には、りんご、柑橘類(レモン、オレンジ、グレープフルーツ)などがあります。
果物の皮や種子にはペクチンが多く含まれているため、ジャムを作るときにはザルやお茶パックなどを使って一緒に煮込まれるのもおすすめです。
ペクチンのからだへの働きには、どんなものがある?
水溶性食物繊維であるペクチンは、体内で水分を抱え込んでゲル状となり、胃腸内をゆっくり移動するため、血糖値の上昇をおだやかにする働きがあります。
また、胆汁酸やコレステロールを吸着し、体外へ排出しやすくする働きや便をやわらかくすることで便通を促す働きも期待されます。
※ジャムは、糖分も多く含まれるので食べすぎには気をつけましょう。
「ペクチン」についてのまとめ
今回は、ペクチンの働きを通して身近にある食品のなぜ?について見てみました。
ジャムは、カットした果物に砂糖と水を加えて煮るだけの簡単な料理です。機会があれば、ペクチンの働きを意識しながら、ジャム作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。