世界遺産の地、比叡山延暦寺の門前町にある幼稚園、比叡山幼稚園の「竹林 幸祥」先生にお話しを伺いました。
index
食べられた喜びを感じる給食
園長「竹林 幸祥」先生
世界遺産の地、比叡山延暦寺のふもとに位置する比叡山幼稚園さま。
比叡山を開かれた伝教大師(最澄)の人材養成の精神をそのまま教育理念とされる延暦寺学園が運営する幼稚園さまです。
>> 比叡山幼稚園ホームページ
私はそれが給食に求められる姿勢だと思います
宮崎:園長先生 本日はお忙しい中お時間をいただきましてありがとうございます。 本日はよろしくお願いいたします。
園長:こちらこそ、よろしくお願いします。
宮崎:では早速ですが、当社のお給食は「お子様ランチではない、ちゃんとしたお食事」をお届けしたいと考えて献立を考えています。
煮炊きものや酢の物・和え物など一般的な給食に比べると、若干こどもたちには食べにくいお料理が入ることもありますが、いかがでしょうか?
園長:私はそれが給食に求められる姿勢だと思います。
「こどもが食べたいもの・好きな物ばかり」ではダメで大人がちゃんと、こどもたちの成長にとって大切なものを考えて出すべきだと思います。
お野菜が苦手な子、酢の物が苦手な子など、それぞれ好き嫌いはありますが、給食の良いところは、「みんなで食べる」ということです。みんなに同じお料理が平等に出されるわけです。だから、苦手なものであっても、「あの子が食べたから僕も食べよう」「あの子はおかわりしてる。わたしも頑張ろう」という気持ちが出てくるわけですね。そこから「食べられた喜び」を感じることができる。
こどもたちには、苦手なものでも挑戦してみて欲しい。挑戦したからこそわかる喜びがあると考えています。
「うまみ調味料を控える」という考えにも共感しています
宮崎:本当にその通りだと思います。こどもたちの味覚を育てるためにも、出来るだけ様々なお料理・味付けを体験していただきたいと思っています。
園長:そうですね。いつも同じようなお料理、同じような味付けではなく、たとえば春野菜の「えぐみ」でさえも、こどもたちの経験として大切だと思います。
そして富喜屋さんの「うまみ調味料を控える」という考えにも共感しています。
私は3年間、比叡山に籠もり修行をさせていただいたことがありますが、その間の食事は精進料理でした。3年間、できあいのものは一切口にしません。
そして山を下りたあと、自身の味覚の変化に気づきました。
3年前まで美味しいと思っていたから揚げやハンバーグ・カップ麺などが身体に合わなくなっていたのです。 カップ麺を食べると頭痛がし、から揚げを食べると体調を崩す。うまみ調味料の入ったものを口にすると「舌が痺れる」という経験も、それまで聞いてはいましたが、はじめて身をもって体験しました。
我々は豊かな時代を生きています。食事に限らず、豊かになればなるほど人間本来の自然の感覚が麻痺してくるという側面があるのでしょう。
幼稚園の時に食べた給食の味はこどもたちの記憶に一生残ります。「自然な味付け」をこれからも守り、がんばってください。
宮崎:はい。こどもたちの「正しい味覚を育てる給食」を、精いっぱいおつくりしてまいります。 本日は貴重なお話しをいただきまして、本当にありがとうございました。
「延暦寺学園 比叡山幼稚園」さま 取材後記
園長先生の柔和な笑顔と興味深いお話しに、 時間がたつのも忘れて聞き入りました。
そして、こどもたちの味覚を育成するために、 これからも努力を続けていこうと、想いを新たにしました。